ハリー・ポッターは今日も同級生の女の子、レイの愚痴を談話室で聞いていた。涙を流しながら、鼻水をすすりながらものすごい勢いでしゃべりつづける彼女の言葉にうん、そうだね、ふーん、だとかの適当な相槌を打つようになったのは一時間ほど前からだろうか。いつもはロンやハーマイオニーが相手をしているものの今日は自分にお鉢がまわってきてしまった。ハリーはレイに気づかれないようにため息をひとつついた。

「な、で、あんなに嫌われなきゃいけないの…!わたし、わたしだって、いっつも予習ちゃんとして、がんばってるのに、毎回毎回減点して、片付け手伝わされて、レポートいっぱい出されて、その上、その上今度は、」

あ、爆発する。本能的に感じとったハリーは急いで耳をふさいだ。


「罰則なんて理不尽すぎるスネイプのばかああアアア!!!」

がしゃーん!レイに叩かれた衝撃で机の上にあった物が転げ落ちた。中にはウィーズリーの製品もあったようで、青い色の飴玉がネズミに姿を変え談話室に飛散した。女子の悲鳴が木霊する。男子生徒もソノーラス×5ぐらいの音量のレイの叫びにキーンとする耳と頭を抱え赤いじゅうたんの上でもだえ苦しんでいる。夕食後のおしゃべりの時間、平和だったグリフィンドールの談話室はあっという間に地獄へと変貌した。耳をふさぎ唯一被害を免れたハリーは、肩を揺らしながら息をしまだ涙を流し続けているレイを見てまたひとつ、ため息をおとした。

彼女は最近になって異様にスネイプに嫌われている。最近のスネイプといえば授業中ほとんどレイにはりつき監視しつづけ、少し手順を間違えるだけで減点の嵐。そのおかげでレイは薬の提出もいつも最後、後片付けを命令され、大量の宿題を出される。今回はついに罰則を、スネイプの私室の本の整理を命令された。正直ハリーや他のグリフィンドール生はレイが被害にあうだけで済み助かっているのだが、本人はそうもいかないだろう。

もっとも、ハリーとロン、ハーマイオニー、他の寮生、先輩、後輩、レイブンクロー、ハッフルパフ、グリフィンドール。つまりスリザリン以外の生徒全員の見解から言わせれば、レイはスネイプに嫌われている、のではなく、惚れられている、のだ。レイを見つめ続けるスネイプの頬がほんのりピンク色に染まっていることに気づいた日は一生忘れられない。忘れたくても、忘れられない。

スネイプが生徒に恋をした!

その噂は瞬く間に全校に広がり、レイはその日のうちにハリーよりよっぽど有名になった。本人は気づいていないが。

スネイプはレイが好きなのだ。そりゃあもう、ストーカー並みに。最初はやっきになってレイをスネイプの魔の手から逃れさせようとしてきたが(例えば授業中レイを監視しつづけるスネイプの視線をこちらにそらそうと花火を打ち上げてみたり、後片付けを手伝うと名乗りあげてみたり、)、すべて失敗に終わった。今となればもう、

早くくっつけばいいのに…。

と傍観である。レイが哀れすぎる気もするが、もう無理だ。スネイプのあのねっとりした視線を変えさせることなどできない。

そして、そんなスネイプにレイがひかれている。ということでも、スリザリン以外の全校生徒の見解は一致していた。

スネイプに見つめられ、目があった瞬間顔を真っ赤にして恥じらったレイの姿は忘れられない。忘れたくても、忘れられない。

生徒がスネイプに恋をした!

その噂はやはりすぐに広まった。スリザリンの生徒の中にもちらほらレイとスネイプの関係を認めはじめた者はいるらしい。要するに

焦れったいな早くくっつけよ!

ってなもんである。この罰則を期にくっつけばいい。ああ、早くくっついてくれ。レイの愚痴を聞かされるのはもう頭が痛いし寝不足だし、スネイプがレイの気をひこうとやっきになる姿を見るのも眼球が爆発しそうだし。

「レイ、もう時間じゃないの?」

ぐずぐず泣き続けるレイに、ハリーはティッシュを渡しながら言った。途端自分の腕にしがみついてくる彼女に、本日三度目のため息。

「い、行きたく、ない…っ!」
「いやほら、でも、」
「は、はり、い!わたしを見捨てるの!」
「見捨ててるわけじゃあないよ」
「じゃあ!」
「でもねレイ、うん、とにかくさ!時間だよ?」
「きゃ、ハリー!!まままままままってちょま、ままままままま…!」

まだわめきたてるレイを寮の扉を開き外に押し出す。ついに壊れたような奇声を発しはじめた彼女の視線の先を見れば。育ちすぎた蝙蝠直々の、お迎えだ。

「ス、スネイプ教授!」
「遅い。すでに三十秒遅刻だ」
「いや、あの、それは、ですね!」
「ほう、理由があるならお聞かせ願おう」
「………えっと、」

三十秒遅刻だって?ハリーは今度は脳みそが爆発する気がした。例え罰則が始まる予定だった時間ぴったりにスネイプの私室からこちらにむかってくるとしても三十秒で来るなんて不可能に決まってる。つまりスネイプはレイを迎えに来る気満々だったのだ。そしてハリーは気づいた。

二人とも、頬がピンク色に染まっている。

……もう勝手にしろ!バタン、とわざと大きな音を立て寮の扉を閉めてやった。


次の日、スネイプと生徒がつきあうことになった!という噂は朝食の席で広まった。時折スネイプを見ては目があったらしく頬を染めにやけるレイに、ハリーのため息は止まらなかった。


おばかってこういうひとたちのことをいうんだよみんなしってたはいここてすとにでるからねー。



100306 ニコ

ひどすぎるセブ…!/(^0^)\←


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