指輪物語、映画の




あたしを選んでほしい。あたしが持っている限られた命といっしょに、生きてくれたらいい。アルウェン様じゃなくて、あたしと。(何にもいわないで。おわらせたくないから)彼は気付いている。彼は気付いているから、あたしを突き放そうとする。優しいから、冷たくする。優しいから、抱きしめてくれる。あたしの望むことを叶えてくれる、ひとつだけ。

「君とは生きていけない」
「知ってる」
「何度もいった」
「でも、いわない」
「それは君も同じだろう?」

抱擁は、あたしを凍えさせるばかりなのに。

「アラゴルン様」

あたしが望むのは、彼との一生。

「いわないでくれて、ありがとう」

隣にはアルウェン様がいる。彼の支えとなる御方。彼女こそがふさわしい。

「私は、君を愛してる」
「ありがとう」

あたしが望むのは、あたしのこの恋が、終わらないこと。彼は叶えてくれる。いつだって、あたしという人を愛してくれる。それなのに、深い深い愛情を感じる度に、あたしは彼の人生に必要ないことを思い知らされて死んでいくのだ。彼は優しいから、とてもとても優しいから、(君は私の人生に必要ない)最期の言葉だけは、ない。

好きです。と、あたしがそのひとことをいわない限り。



110210 間宮

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