わたしは指がすきだった。指を絡ませることが強い愛情を感じる行為だった。そして、白くて長いけれど、節くれだってごつごつしたシリウスの指が、なによりもすきだった。「指だけ?」とシリウスはちょっぴり悲しそうな表情を作りながら言う。わたしは笑う。「シリウスの中で、指がいちばんってこと」

「じゃあ2番目はどこ?」
わたしはシリウスの膝にあたまをのせる。「うーん。どこかなあ……」シリウスの指がわたしの髪をすいて、途中でつっかえてしまうのですこし恥ずかしい。「絡まった」「うるさいなーもう」怒るわたしを見て、いじわるそうに笑う。「あ、2番目。膝だ」「膝?」「膝っていうか、ふともも。今わたしの頭を乗せてくれてるここー」「へえ」

「私は、お前の絡まる髪の毛がすき」
「は、むかつくんですけどー!」起き上がって抗議すると、ちゅっときすされる。やわらかいくちびる。「もう、ごまかされないからね!」「ごめんごめん」っていいながら、もっかいキス。ごまかす気満々である。シリウスは目を細めて、クツクツ喉を震わせた。「あ、」「なんだ?」「目のしわ、すき」「老けただけだろ」「んーん、すき」学生の頃、ちょっぴりきつかった彼の目つきを、やわらかくしてくれたしわ。

「お前が老けた時同じこと言ってやるよ」「えっ」それは、すごく、いやだな。むかいあって、シリウスの膝に座る。「ねーちゅーしよう」「ごまかすなよ」「ちがうちがう」「まったく」シリウスはわたしの頬を撫でながら、ふわっとくちびるを重ねてくる。やさしい仕草にどきどきする。「シリウスだいすき」「ありがとう」「シリウスは?わたしのことすき?」「当たり前だろ。愛してるよ」「きゃー照れちゃう」「かわいいなあ」

ガタン。シリウスの背中側。つまり、わたしの正面にある扉が開いた。シリウスはわかりやすくびくっとして、首をうしろにむける。
「は、ハリー……」
「シリウスおじさん。レイ。うん。しあわせそうなのはいいけど、僕となりの部屋にいるから。全部聞こえてるから。」
ガタン。ハリーははーっとわざとらしいため息をついて扉をしめた。シリウスが真っ青な顔をしてギャーッ!と叫んで、わたしは声を出して笑った。

20140927 にこ
おひさしぶりでした

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