ねえリーマス、さみしいの?うん、すごくさみしいんだ。わたしは側にいたほうがいい?うん、側にいて。ぎゅうってしたほうがいい?うん、お願い。

満月の夜のつぎのひ。朝は決まって空気が清らかだ。昇り始めた太陽の光が眩しくて、わたしは手で影をつくった。お月様は彼の敵だけれど、あなたはちがうね、おはよう、ありがとう、できればいつまでも空で輝いていて。心の中で、さんさんと輝く光にお祈りをすることは毎日の日課。馬鹿みたいだなんて思わない。今のところ太陽はわたしの願いを叶えてくれないけれどいつか、彼のために地平線に沈まないようになるかもしれないのだ。

ねえレイ、僕、さみしいんだ。そうなの?うん。わたしはどうしたらいいの?側にいて、だきしめて。うん、わかった。

リーマスはとてもさみしがる。いくら力をこめてだきしめても体の震えがなかなか止まらない、なんてこともよくある。それでも震えさえ止まればみんなの思う『いつものリーマス』にすっかり元通りになるのだけれど。彼の心にはぽっかり穴が空いていて、いつもひゅうひゅう、風が通ってる。

リーマス、リーマス、わたしはここにいるよ。ありがとう。だいすきだよ。うん、僕も。

彼のさびしさを埋めることはわたしにはできないのかもしれない。リーマスはまっさらな布団にくるまって、にっこりきれいに笑いながら言った。

「僕は怖いんだ」
「こわいの?」
「うん」
「どうして?」
「君を殺してしまうかもしれないからだよ」
「リーマスが?わたしを?」
「うん」

やだ、そんなことあるわけないじゃない。そう言って笑えばリーマスはぐい、とわたしの腕を引っ張った。その力に逆らうことなく、やわらかな白にわたしもダイブする。「がおー」リーマスはかわいく鳴いてわたしの首筋をかぷりと噛んだ。

「くすぐったいっ」

笑い声がこぼれる。リーマスもくっくっと笑った。そしてわたしの腰に腕をまわしてぎゅうとだきしめると、一言、ぽつり。


「だきしめて、そばにいて」

やっぱりわたしには彼の孤独を埋めることはできないのだろうか。






100425 ニコ

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