「リリー!お化粧教えてください!」

最近、わたしの親友は変わりました。前はいつもはにかんだような可愛らしい笑みを浮かべて、ブラックが浮気したり約束を破ったりしたら泣きそうになりながらわたしに大丈夫よと微笑んでいたのに。まあ、いまのレイはレイですごくかわいいのだけれど。

ブラックを殴った事件(未だにわたしは信じられない)以来、なにかがふっきれたようなレイ。すこし(ええ、ほんの、すこし…)だけ粗雑な言葉を使うようになってしまったけれど、それはブラックにむかってだけ(そうよ!ブラックにだけ!)。前の儚げな印象から、元気よく快活そうな雰囲気になったのも彼女の新しい魅力のひとつでしょう。

それに、もっともっと可愛くなりたいと今まで以上に服や髪の毛に気をつかったり、わたしに化粧のやり方を教わったりするから、男子からの人気があがったように思う。その証拠に、この間図書館で勉強していたとき、隅のほうに固まっている男子の会話はレイのことだった(盗み聞きしてなにが悪いの?だって親友のことだもの)。

「ええ、いいわよ」

そう言ってレイに微笑むと、彼女は目をきらきら輝かせながらわたしに抱きついてきた。「ありがとうリリーあいしてる!」という嬉しい言葉と共に。おとなしかったレイでも、元気なレイでも、わたしの親友。わたしもあいしてるわ、とレイの小さな体を抱きしめ返しながら囁いた。

「もう!そーゆーのはジェームズに言いなよね!」

そんな親友の頭に拳をおとすのは、また別の話。


最近ショックだったことがふたつある。ひとつはレイ・アイカワのこと。もうひとつは、

「はあ…」

シリウス・ブラック。自分のベッドに寝転がりながら、ため息ばかりついている僕の親友のこと。

レイの豹変ぶりにも最初は本当に落ち込んだが、乱暴な言葉を使うのはシリウス相手だけだとわかったし、彼女は前よりも魅力的になったようにおもう。(え?いや、リリーの次にだよ?)そのきらきらした笑顔に、すでに何人かの男子は夢中だ。(だから僕はリリー一筋だってば!)だけどシリウスは、重症だ。

「なあジェームズ。俺とレイ。別れてるとおもうか?」

いままでの女遊びの様子を考えると、あれ君一回死んで生まれ変わったの?と聞きたくなるほどレイに未練たらたらだった。

さっきまで忍びの地図をみながらため息をついていたシリウスからの質問に、ぼくはあははと笑ってごまかした。うんそうおもうよ。なんて素直に返事をしたら、彼はすぐさま自分にむかってアバダケダブラと唱えてしまうだろうから。(ああそうか、地図でレイがどこにいるのかを探していたんだ)

「っ!ジェームズ急げ!早く!!」

僕がなんて声をかけようか考えをめぐらせていると、シリウスが飛び起きた。よくわからないまま手をひかれて談話室に降りると、暖炉の前のソファでレイがリリーとしゃべっていた。(あれ?めずらしいな。談話室にいるとシリウスにつきまとわれるからって、女子寮にこもっていたのに)

「あ、う、い、レイ!」

あ、う、い、とありえないどもりかたをしながら情けない声でレイを呼ぶ親友の姿に、涙がでそうになった。ああ。きっとまた無視されるか罵られるかして、僕が慰めなくちゃいけなくなるのか。すると、なんと、しかし、(接続詞がおかしい?そんな細かいことは気にしないでおこうか)

「なあに?シリウス」

レイが、レイがシリウスに返事をした!振り向いた!これだけでもすごいことなのに、彼女はさらに笑っている!彼女のかわいさをよりひきたてるような化粧をしていて、その笑顔はさながら天使のようだった。(ちなみにリリーの笑顔は女神さ!)


うぃずべすとふれんず


(どうかシリウス!しあわせになってくれ!)(ああもうレイってばどうしてそんなにかわいいのよ!)





ヒロインにべたぼれ?なリリーとシリウスを応援するジェームズ\(^0^)/

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