「レギュきいて!」

めずらしく笑顔の彼女に僕の頬も緩むのがわかった。どうやらやっとあの糞兄貴と別れたようだ。

「よかったですね」

初めて会っていきなり兄の愚痴をこぼされたときはなんなんだこいつとも思ったが、兄に見せないであろう笑顔にまあいいかと今は思っている。

図書室の奥の席。何度も何度も泣きそうな顔をした先輩に相談を受けた。

「先輩、」

「んー?」

僕、あなたのことすきなんですよ。そう言ったらどうなるのだろうか。もう兄と別れたのだし言ってみてもいいかもしれない。

「あっ、ごめんレギュラスわたし逃げるからまたね!」

口を開きかけたところで遠くから先輩を呼ぶ兄の声が聞こえた。先輩は慌てて図書室を出ていく。

いま、笑ってた。

僕にみせるものとまた違う笑顔。

「うっわ近づくな!」

「レイ!すきだ!」

いつまでたっても、兄には叶わないのだろうか。廊下から聞こえてくる二人の声に、強く目をつむった。

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