どっどっどっ。心臓が怖いくらい激しく動いている。手も足も震えてる。とりあえず手汗やばい。だけどそろそろ時間だ。行かなくては。ああでも緊張する!
「シリウス、君ださいよ」
「ださくねえ!」
「いっそしねばいいのに」
「ちょ、全然関係なくね!?」
「で、でも、がんばって、ね!」
「ありがとうピーター!」
レイに告白してからちょうど一週間後。日曜日。朝方にふくろうで手紙が送られてきた。
(今日の午後一時湖のほとりに集合!お昼ごはんは食べてこないでね!)
なんだか妙だとも思ったけど、きっと何らかの答えがでたのだろう。十二時四十分。十分前には着けるように、(どこぞの小学生なんだ!だけど今日は特別だからさ)俺は三人の友人(うち二人は辛辣)に見送られながら談話室を出た。
十二時五十分、湖についた。予定通りの十分前。レイはいなかった。少し早かっただろうか。チクタクと俺の腕で時間を刻む時計を睨み付ける。
相変わらず心臓がうるさい。
ちょうど時計の長い針が十一を指したとき、風にのってどこからか複数の笑い声がきこえてきた。
「…レイ?」
その中に混じる声に顔をあげると、長い坂を下る六つの影。
え、なにこれ?
「はいジェームズこれ持って。」
「重っ!なに詰めてるの!?」
「ぼぼぼく半分持つよ?」
「「おまたせ!」」
「リリー!今日も美し「はい、持ってねポッター」重…っ!」
「じゃあ行こうか、レイ」
「うん、レギュもそろそろこっちに来る頃だしね」
シリウスが出ていってあと、わたしたち五人も寮を出た。今日は珍しく快晴。雲ひとつない、青空。
「はろーシリウス!」
「おーさっきぶりだね相棒」
「いっそしねばいいのに」
「ご、ごめんね!」
「しんでください」
「早く準備しましょう!」
リリーの言葉に準備を始める。折り畳み式の机を出して、その上にサンドイッチやたくさんお菓子を並べた(リーマスのチョイスなのでチョコの割合が高い。)。シリウスはぽかんとした表情のまま突っ立っている。そんなシリウスをリーマスとレギュラスが、あ、殴った、けっこう痛そうだ。
「痛っ!なにすん、てゆーかなに?これなになんなの!?」
「黙ってください永遠に」
「気が合うねレギュラスくん」
「今日はピクニックだよ!」
本気でシリウスの命が危なそうだったので、紅茶を入れる手を止めてリーマスとレギュラスとシリウスの間に入る。二人は舌打ちをして準備に戻っていった。(わーこわい!でもおもしろい!)
「レイ!これなんなんだよ!?」
「だからピクニックだって。天気いいし、みんなでお昼ごはんとおやつをいっしょに食べようかと」
わたしがそう言うと、シリウスはあーとかうーとか唸ったあとにひとつため息を落として体の力を抜いた。(やっぱりおもしろい!)
「準備できたよレイ!」
「はーい!」
ジェームズの言葉に返事をして、シリウスに手を差し出す。
「行こ!」
「…おう」
握った手は、熱かった。
つなぎなおす手
(シリウス!すきだよ!)(ぶぐっ!ええこのタイミングで!?)(うわ、汚い、しんでよ)(最悪ですね、しんでください)(レイったらなんでこんなのがいいのかしら?)(僕たちけっこう放置だね、ピーター)(僕はいつもそうだよ…)
かくしてハッピーエンド!
おわり!だよ!