先生がペットのグリーンイグアナをとっても大切にしているのは知ってるけど、でもせめて私が来たときくらい、私の相手をして欲しいと思う。めを細めてゆったり微笑みながら、硬そうな緑色の皮膚を撫でる、そんな姿も好きなんだけど。
「クィレル先生、」
先生は気付かない。もう、嫉妬なんてしたくないのに。
「ねえ!せんせ!」
「え、あ、はい!」
「…」
「どうかしたの?」
きょとん、てした先生を、なんにもいわずにみつめつづける。そしたら先生は困ったような顔をして、少し考えたあと、わたしの隣に腰かけにっこり笑った。
「何よりも、君が好きだよ」
わたしは時々、先生がわたしの気持ちをぜんぶ見透かしてるんじゃあないかって感じるの。そっと指を絡めて、それが嬉しくて笑いあうわたしたちは、ひどく幸せだった。
110321