「どういうことなの!?説明しなさい!」
「あれ?どこかで聞いたセリフだね!僕に会いに来てくれたのかい!うれしいなあ」
「ばかっ!違うわよ!」

レイは図書館に行くらしく、私は監督生の仕事があると言ってわかれた。談話室に駆け込みブラック、リーマス、ピーターとしゃべっていたポッターに掴みかかる。よしとりあえず叩いておこう。振り上げた腕は今回はとめられることなくポッターの頬にヒットした。

「恥ずかしがりやさんだねリリー…!」
「気色悪い!」

無性にイライラする!にやにや顔をしてさあ飛び込んでこいと言わんばかりに腕を広げるポッターをさらに叩く。(ごふっ…愛が溢れてるんだねリリーそうだね!)ブラックのことが好きかもしれない。レイがそんなことを思う時点でおかしいのだ。あんなに嫌っていたのに!(ぐほっ…僕はそんな君の愛をすべて受け止めぶぎゃっ…ああリリー愛が激しいよ!)惚れ薬!そうよ惚れ薬!きっと、バレないように少しずつレイの飲み物とかに入れたんだわ!

「お、おいエバンズ、それぐらいに…」

ああ、つい無心で殴り続けてしまった。ブラックの言葉に目の前のポッターを見れば鼻血を流しながらそれでもやっぱりにやにやしていた。もう、気持ち悪いどうしてこんな人間が存在しているの私たちがこれと同じ人類だなんてああ神様が手違いで作ってしまったんだわきっとそうね。

「リーマス!ちょっと来て!」

ブラックもいるし、談話室で話せた内容じゃない。ポッターのローブのフードを掴み(り、りり、ぃ、くるし…!)リーマスも着いてきたことを確認してこの間と同じ近くの空き教室に入った。

「レイに惚れ薬飲ませたでしょう!」
「ええ?そんなことするわけないだろう!」
「リーマス!」
「ううん。してないよ」

ああ、なんてこと!じゃあレイはブラックの毒牙にかかってしまったの?

「はあ…、信じられない…」

急に力が抜けて後ろの椅子に座り込む。調子に乗ったポッターが肩を抱いてきたのでみぞおちにひじてつを食らわせた。

「う、ぐぶ…っ!」
「リーマス、本当にやってないわよね?」
「もちろんだよ。でもまたどうして?」
「レイが、…ううん何でもないわ」

どうしよう。言ってしまってもいいのだろうか。ここにはポッターもいるし、まだ可能性の話だし、レイがブラックを好きかもしれないなんて、言いたくもないし。気まずい沈黙が教室を包んで、私はうつむいた。レイの幸せを一番に考えてる、けど、よりによってあのブラック!散々レイを傷つけてきた、あのブラック!

「レイがシリウスのことを好きになったかもしれない、って?」

しばらくして響いたその言葉に顔をあげた。リーマスはいつもと同じように笑っている。リーマスもレイに聞いたのだろうか。床を見れば、ポッターはなぜか(本当、どうしてだか私にはわからないわ!)気絶していて聞かれる心配はない…うん。まあいいとしよう。

「どうしてわかったの?リーマスもレイに聞かされたの?」
「いや、ちがうよ。」
「じゃあどうして!」
「見てればわかるさ。
君だって、そうでしょ?」

『リリーわたし、シリウス・ブラックが好きかもしれない』

そう言ったときの、レイの瞳。ううんあの時だけじゃなくって、ここ最近の、レイのちょっとした表情とか、仕草とか、ぜんぶ。

「……そうね。ええ、わかるわ」

ブラックが好き、だと。


「ちょっとリーマス!僕のリリーと良い雰囲気になるなんて、親友でも許さないぞ!」
「き、気絶してたんじゃなかったの!」

視界が真っ暗になったと思ったら私はポッターに抱きしめられていた。離そうとしても意外と力は強くてどうしてもだめだった。

「今の話、聞いてたの?」
「いや?気がついたら君とリーマスが良い雰囲気になってたから慌てたのさ!」
「そう、ならいいわ」

レイがブラックを好きだなんてこいつにバレたら終わりだ破滅だ。どうやら聞いていなかったようで私は胸を撫で下ろした。もうこの際抱きしめられてるとかは気にしない。ああよかった。それに気を良くしたのかさらに力が強くなって息ができなくなった。…やっぱり気にする!思いっきりアッパーをするとポッターは宙にきれいな放物線を描き、どちゃり、落ちた。

「もうそのまま起き上がらないでちょうだい!…行きましょリーマス」

あ の 部 屋 に 。と口パクで言うとリーマスがうなずいた。あの復讐の計画、レイに内緒で手直しをしなくては。なんだか悔しいけれどこうなったら私はブラックとレイがうまくいくようにやるしかない。足早に教室の出口へ向かう。でも、その動きは出る直前に響いたポッターの声で止められた。



「…で。好きになった、かもしれない。ってどういうことかな?」

振り向けば、ずれた眼鏡をなおしながら立ち上がるポッター。もちろん嫌な笑顔つき。



2010/02/09 ニコ

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