「生まれてきてすみません生まれてきてすみません生まれてきてすみません生まれてきてすみません…」

僕がピーターといっしょにホグズミードから帰ってくると自分のベッドの上でシリウスが丸まっていた。ジェームズはまだ帰ってきていないようだ。(リリーを追いかけまわしてるんだろうな)え、なにどうしたの今日はレイといいかんじだったじゃない。

「とびげり…」

は?とびげり?もう本当にどうしちゃったのちゃんと説明しなよ。そう言えばもう一度生まれてきてすみませんと言ってぶつぶつ聞き取りにくい声で話し出した。そんなシリウスの話を要約すると、レイと手をつないで歩いていたら興奮しすぎて鼻血が出そうになった。ついでにいつの間にかレイと仲良くなってる僕に嫉妬。もうだめだと思いとりあえず今日は帰ろうとしてレイに余分なことを言ってしまった。そしたらとびげりされた。うん馬鹿だね君。そんなんだからSJCができちゃうんだよ。こんな親友をこてんぱにしたいのもそうだけどやっぱり幸せにもなってほしいと思う。レイだってこのままじゃつらいだけだ。

「そういえば君さ、レイに好きだ、って、言ったことあるの?」
「…………………ない」

ああもうどうしようもない。



梟が僕の部屋(同室の奴らはまだ帰ってこないから実質僕の部屋、だ)の僕のクローゼットの中から出てきた。うん、もう気にしないことにする。考えるのも面倒くさい。手紙なんて珍しいな。というか一年ぶりくらいじゃないか?…僕だって、虚しいと思うときはある。見慣れない梟から手紙を受け取りちょうどつまんでいたビスケットを近くに置くとつつき始めた。手紙はルーピンからだった。

「…ふ、」

ああ、くだらない。くだらなすぎてにやける。どうしてこいつはブラックとかポッターなんかのためにここまでできるんだろう。でも、たった今まで読んでいた禁書よりよっぽど興味を注がれたので、わかった。とその辺の羊皮紙に走り書きをして梟に持たせた。梟はまたクローゼットの中に消えていった。今度よく中を調べてみなければ。ああ頭が痛い。

とりあえずあの隠し部屋に行くとする。レイとリリーも帰ってきてまたたくさん愚痴を聞かされるのだろう。(SJCとか言う変なクラブのおかげでリリーとまた普通にしゃべれるようになったのは確かな現実だ)


「ああもう許せません!信じらんない!!どうでもいい、って!とびげりなんかじゃだめ首へしおってやればよかった…!」
「ポッターったら何したと思う!?わ、わ、私の、お、おしりさわってきたのよ!?痴漢よ痴漢!」

最近常々思うことは、女というやつは二面性も三面性も持っているということだ。特にレイはただリリーの横でふにゃふにゃ笑っていることしかできない能無しかと思っていたから顔を真っ赤にしながら怒り狂う彼女は未だ見慣れない。いや見慣れたくない。恐ろしい。

「じゃあ、改めて真剣に計画でも立てようか」

ルーピンのその言葉に、リリーとレイの瞳に炎が燃え上がった。背中に寒気が走った。今までになく真剣に復讐計画をたてはじめ、ルーピンが二人にわからないように僕ににやりと笑う。ああ、ここにも恐ろしい奴はいた。

「ポリジュース薬が必要ね…」
「よし!セブ!よろしくお願いしますね!」
「レイ、お菓子はどうするの?」
「厨房の屋敷僕さんに頼めばいいでしょう」
「ああそうね!じゃあこっちも頼まなくちゃ!」

怒りがあればあるほど、頭はよく回るらしい。むしろその怒りをエネルギーに変えているに違いない。女と言うやつは。思わずこぼれたため息。

その日のうちに計画は完璧に立てられ、次の日から僕はポリジュース薬作りに追われることになった。



2010/01/18 ニコ

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