目が覚めました。眠りに落ちる寸前までリリーは隣にいてくれたけれど、今はもういません。どこに行ったんでしょう。

ふと窓の外を見ると、もう夕暮れでした。どうやら昼間から今までずって寝ていたよう。ああ、リリーは授業に出ているんですねそうですね。

にしても、視界がやけに狭いのです。目一杯寝たはずなのに、瞼が異様におもいのです。重い体を起こして鏡を見ました。

「うえお!?」

目!わ、わたしの、目が!

「レイ?起きた、の…」

タイミングよく帰ってきたリリーはわたしの顔を見て絶句しました。「なきすぎたみたい…はは」わたしの瞼は腫れ上がり、ふだんの目の大きさの3分の1ほどになってしまったのです。もうこれで明日の授業は出られません。しかもシリウス・ブラックに掴まれた腕がまだひりひりするのです。腕をみると、寝る前は赤かった痕が、青くなっていました。



ぶち。ぶちぶちぶち。ぶちん!



「レイ、レイ大丈夫よ!ポッターは討ち取ったから!今ごろそのへんの教室に転がってるわ!」
「ふ、ふふふふふふふふ…」
「レイ…?」

なんなんですか。女の子をなんだと思ってるんですかあの男は。青アザができるほど強く腕をつかんで、つきあえ?ははははは失笑もんですねそれは!自分がちょっと顔がよくてちょっとスタイルもよくてちょっと勉強もできてちょっと運動もできてちょっと女の子にもてるからって調子のってんじゃないですよ!!だれでも自分に振り向くと思ってるんじゃないんですかあのナルシストは。わたしが黄色い猿だからって、ぶっちんしないと言い返すことができないからって、ざけんなこのくそ男っ!!女の子はコレクションできるもんじゃねえんだよわたしにだって意思も目的もあるの!

シリウス・ブラック…!

女の、敵っ!!


「よくやりましたねリリー!ジェームズ・ポッターは抹殺完了…!残るはシリウス・ブラックです…。ふふっ、ふふふふふふふふ!」

こうなったらシリウス・ブラックの彼女という立場を利用してとことん復讐してやろうと思います。

イエロー、モンキー!
なめたらあかんぜよ!

「リリー、いっしょにあいつらを破滅に導きましょう…!」
「え、ええ!ええそうね!がんばりましょう!」





「おはようシリウス!」

にこっ、精一杯の笑顔をわたしはシリウス・ブラックに向かって浮かべました。(え?目の腫れ?あんなもん気合さえあれば一晩で治ります…ああいけない!昨日から口が悪いですねわたし!)

「(え、やっば!シリウスだって!名前で!レイが!やっぱ俺きらわれてないんじゃーんジェームズのばーか)…はよ、……………猿」
「シリウス!いっしょに大広間に行きませんか?」
「(おおおうせ、積極的!笑顔が…!)…………………おう」

掴みは上々!猿発言に拳が出そうになりましたがそこは女の意地でカバー、です。シリウス・ブラックは低血圧なのでしょうか。ああネクタイゆるんでる、だらしない!

「は、そんな見んじゃねえよ(ときめくだろ!)」
「あ、ごめんね!…見惚れちゃったの」

ああ吐き気がします。見惚れちゃったの、とか、シリウス・ブラックに、見惚れちゃったの、とか…!うえええっぷ。シリウス・ブラックは柄にもなく耳まで真っ赤にしました。気持ちが悪いです。

「やあおはようリリー!レイ!」
「なんでいるのよ…!?」
「おっおはよう、ジェームズ!」

ああ、なんてこと!ジェームズ・ポッターが復活してしまいました!

ゴキブリみたいにしぶといんですね糞眼鏡!


どうやら、前途多難な模様

(眼鏡が復活してくるとは思わなかったです…)(レイ!めげないでがんばりましょ!)(…そうですね!まずは仲間をつくるところから始めましょう。ルーピンくんなんてどうですか?)(いいわね、そうしましょう!)あ、ちなみにこれぜんぶアイコンタクトなんですよ。わたしとリリーの絆は深いのです!ふふ!



2010/01/11 ニコ

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