It came the winter this year too.
修学旅行から帰るとすぐに学校はテストモードに包まれた。
そのテストモードすらあっという間に過ぎ去って、季節は真冬。
今年のクリスマスから年末はイギリスのグランマの元に帰っていたからか、ずっと伊吹と一緒にいた。
前とは違う距離。
でも、それは、伊吹が全部を受け入れてくれた証でもあった。
夏の時とは確実違う、愛の形に最初は戸惑いもしたが、次第にそれも心地の良いものに変わっていった。
夏の愛が肉体を必要とするエロスなら、今は兄弟愛であるストルゲーにも、友達の愛でもあるフィリアにも似て。
思春期における精神の安定はこんなにも人を変えるのか、と驚きもした。
伊吹の成長がこんなに間近で感じられるのは、やっぱり楽しいとも嬉しいとも思った。
「織、寒くない?」
「ん、大丈夫だ」
「頬真っ赤になってるよ、冷たい」
イギリスの冬は寒い。雪も深い。
家の暖炉の暖かさに油断をしてマフラーを忘れた俺に、伊吹はぐるっとマフラーを巻いてくれた。
「ありがとう。あったかいな」
「僕の熱だからね」
「それはありがたいな」
ふふふ、と笑って、伊吹が鼻歌を歌いながら先を進む。