告白2
「俺の叔父さんの水無瀬寛人か?」
「生きていたらそうなると思う」
「以前話していた例え話はあながち嘘でもなかったんだな」
「例え話?」
「前に俺の家……伊織の家でもあるのか、夏に来た時そんな話をしていただろう」
言われる前には記憶から抜けていたが、今更ながら思い出した。
あの時は、伊吹にも雅人にも話す前で、薫に背中を押してもらった。
「うん。あの時はありがとう。薫の言葉が無かったら、俺踏み出せてなかった」
「そうか。信じてくれただろう?」
「え?」
「お前が話したことを、嘘だと疑う奴はいなかっただろう?」
「そう言えば………」
そう言われてみれば、こんなに非現実的な内容であるにも関わらず、雅人や伊吹、斯波から疑いの言葉を聞いた事が無かった。
「頑張ったな」
いつものように頭をぽんぽんしていた薫の手が、突然止まった。
「どうした?」
不思議に思って聞いてみれば、珍しく困り顔の薫。
「いや……」
薫が動揺を誤摩化すかのように、手を開いたり閉じたりしていたが、何か言うべきことを考えているようだった。