ハプニング(side.Ryuji)
Ryuji.side.......
浴室からガタンと大きな音がして、嫌な予感が背中を駆け抜けた。
最悪の事態を瞬時に想定し、即座に打ち消す。だが、先ほどまでは水音が聞こえていたはずの浴室から、音が一切聞こえてこなくなり、居ても立っても居られなくなる。
「伊織くん?」
脱衣室の扉を叩くが反応はなく、悪いと思いながら浴室の扉の前まで行き、再び呼びかけた。
「大丈夫? 気分とか悪い?」
返事はなく、時折ちゃぷんと水滴音が聞こえる静かな浴室内に冷や汗を握る。
「伊織くん?! 大丈夫? 起きてるなら返事して?」
その問いにも答えがなく、「伊織くんごめんね!」と断りを入れ、思い切って浴室の戸を開けた。
目の前に飛び込んできた光景に愕然とする。
「伊織くん!!」
お風呂の縁に凭れかかりぐったりしている伊織くんを慌てて抱き起こした。
身体は燃えるように熱く、熱い身体とは反比例した青白い顔で意識を失っている彼の姿があった。
Ryuji.side end