成長→高校
あと密かにびっくりした事は、双子だったという事だ。
俺は双子の兄で、伊吹が弟。
伊吹の方が格好いい名前だったから、交換して欲しかった位だ。
ブロンドに、色素の薄い碧の目。一卵性の為か、外見はそっくり。最初は鏡を見ているのかと思った。おばあちゃんがイギリス人らしく、俺たちはイギリス人のクォーターになるらしい。
3大のびっくり。3度おいしい?
おいしく見えておいしくないのは、18歳の精神を持っていながら、子供のフリをしなくてはいけない事だった。幸い伊吹が居た為、伊吹の真似をすれば子供がどういう行動をとるのか、良いお手本があったから目に見えた失敗はなかったが。
俺の異常な理解力に気がついたのは、両親だった。
両親達が話す会話を、ふんふん、と聞いていたのがまずかったらしい。普通の子供は、ぽかーん、と聞くべきところだったのだ。
そんなの知るか。とも思ったが、伊吹をちらりと見ると、確かにぽかーんとした表情を浮かべていた。
「伊織は天才だ!」
父様が随分喜んだのを覚えてる。
あ、ちなみに、この家庭では、父様母様で呼ぶのが基本。(もちろん、小さいときはパパとママ)
その頃は、父様はよく俺と伊吹を社交の場に連れて行った。
製薬会社の社長の父と、元CA(キャビンアテンダント)の母親の家柄の良さもあってか、何一つ不自由する事がなかった。小学校にあがると共に、家庭教師を付けてもらえた為、勉強に困る事もなかった。
天才、将来有望。
いつしか俺について回る代名詞になったが、高校生まで終えている俺にとって負担ではなかった。