墓参り2
掃除を終え、帰ってきた伽耶さんと合流して、皆で墓前に手を合わせた。
頭の中には、先ほどの雅人の言葉がずっと反芻していた。
――薫の叔父さんと仲の良かったやつが、今も月命日にお参りしてくれている。
きっと隆二だ。隆二以外に考えられなかった。
俺が死んで、ずっと、そんな事をしているのだろうか?
死んでから18年近く。毎月欠かさず?
まさかな。
そこまで考えて、馬鹿な、と首を振った。多分、近くに来る用事があり、寄ったとかその程度だろう。
ざわつく胸中。
もしかしたら、本当に毎月来ているのかもしれない。そう考え始めると本当にそのような気がして、言い様も出来ない寂しさに襲われた。
俺は此処にいて、墓から隆二を見ている事さえもない。
「さ、そろそろ行くか」
雅人の言葉で、思考が現実へと帰ってくる。
「付き合わせて悪い」
薫がそう謝ってきて、俺は慌てた。きっと今の俺は暗い顔をしていて、暑いから早く帰りたいとか、そういった風に気分を害したと勘違いしたのだろう。
「いや、勉強になったし、薫の親戚を知れて良かった」
そう言えば、薫が「そうか」と安心したように頷いた。
「顔色が悪いが、大丈夫か?」
雅人からもそんな心配をされる。
「いえ……俺も亡くなった祖父に挨拶したいなって思ったら、少し悲しくなってしまって」
咄嗟にそう言い訳をすれば、雅人も「そうか」と頷いた。
一瞬、どこか納得いかないような顔をした雅人に、嘘がバレたのかと冷やっとしたが、以降その話には触れてこなかった。