初雪と初恋2



「寛人、愛してる。君にこの気持ちが伝わるなら、何回でもこの舞台から飛び降りるよ。それこそ君の病気が治るなら、何回だって神に身を捧げるのに」


 「何冗談言っているんだよ」と笑い飛ばそうとして、失敗した。

 隆二の顔があまりに真剣で、とても嘘を言っているように思えなかったから。


「でも、お前……好きな人居るって」


 昔から好きな人が居るって言ってたじゃないか。そう続けようとして、ハッとする。


「もしかして、」

「ずっと寛が好きだった。初めて会った時から、ずっと。寛以外いらない」


 俺が二の句を紡げずにいると、隆二が更に言葉を重ねる。


「寛と体が入れ替われたら良いのに。俺がその苦しさを全部引き受けるのに」

「隆二……」


 お前にはいくらでも未来があるじゃないか。
 未来のない俺なんか好きで居たら駄目なのに。


 拒否の言葉は出てこなかった。
 ずっと一緒だった幼馴染からの告白は、同性同士であるはずなのに、気持ち悪さも何も感じなかった。
 心臓が締め付けられるくらい切ない気持ち。


「今は何も言わないで」


 隆二が泣きそうにそういうと、不意に唇が重なった。優しくて、触れるだけのキス。




 この日初めて京都の街に雪が降った。






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