神よ、感謝します2(Jin.side)
好きな人に気持ちいいと思われて、これ以上無い至福を味わっているはずだが、男の欲というのは尽きる事がないのか、とどこか他人事のようにそれを冷静に分析している己が居た。
もっと触りたい。
もっと気持ちよくなって欲しい。
前を洗う為に後ろから抱き込むような形に移動しても、伊織さんは完全に気を許してくれているのか、胸に体重が乗り、伊織さんの濡れた髪が顔をくすぐってきた。
こんな無防備だから、斯波にも付け入られたのだろう。
思い出しただけで、胸の奥を嫉妬という名の苛立ちが燻る。
他人を撥ね除けるような強さを感じさせるのに、本当は誰よりも繊細で努力家で一途で。手を差し出せば、臆病になりながらも頼ってくれる。
そんな伊織さんが、どうしようもなく可愛くて。
強さに惹かれ、何かを只管に隠している危うさとミステリアスさを知ってから、伊織さんから目が離せなくなった。
少しでも伊織さんの事を知れれば、と写真や記事、論文からレポートに至るまで調べ尽くしてもなお、その興味は尽きる事はない。
本当に罪な人だ。
タオル越しに乳首の突起の小ささを感じながら、下はどうなっているんだろう、と長年の欲求が顔を出す。
何度も想像した伊織さんの服の下。
乳首は、下は、足は、お尻は。
タオルを動かして行けば、伊織さんの身体を全て知りたいという欲求を押さえきれるはずもなく、悪戯心に心が揺れた。