God jeers at me.3
「ばかな」
俺は鼻で笑った。笑わざるを得なかった。
鋭さ、着眼点。
こいつが会長という座に、疑いもなく向いていると思えるのは、この2点にブレを感じさせないからだ。
「まあ、輪廻転生の不確定要素の有無についての議論は尽きないですよね」
「そうだな。お前の質問に答えるとするのであれば、弁証法で説いても良かったんだが、時間がなかったから安易な所に流れた駄文、っていうのが回答」
「珍しいですね」
「そうでもないだろ。研究会に出す訳でもないんだから。あのジジイ……教授が喜びそうなラインで書いただけの話だ」
「そうなんですね。なんだ、てっきり生まれ変わる前の記憶があるかと思ったのに残念です」
隠しきる事は無理があるのか?
今だって核心を握っているこいつに対して、俺が否定を述べなければ、是だと認識していたという事か?
今日だってもう既に1人にバレている。どんどん自信のなくなる論議に、対処すべき方法があるとしたら、此処から早急に立ち去る事だろう。
これ以上こいつといたら、ボロを出しかねない。
「薫との待ち合わせ時間もあるし、そろそろ身体洗うぞ」
「はいっ!」
今までの流れを忘れたのか、しっぽが見える勢いで神が頷いた。