いざ、バスケ?3
なんとなくヘロヘロな動きに見えるのが、その柔な動きがなかなか読みづらいらしい。
何度か薫も日下のボールをカットしようと手を出すが、カスリはするが、あと一歩のところで日下が体制をすぐに立て直す。
しかし、日下がそのままゴールを決めようと飛んだその瞬間。
薫ともう一人の選手も、日下と同時に飛び上がり、その手からボールを豪快に弾いた。
さすがというべきか。
あの長身二人に囲まれたら、誰だってゴールは打たせてもらえないはずだ。
他に仲間がいないなら尚更。
弾かれたボールを残りの部員が拾って、日下の試合は終了した。
「残念だったな」
「あそこで二人出てくるなんて反則っしょー」
ブツブツ文句を言いながら日下が帰ってくる。
「伊織ちゃん応援ありがとーね」
「惜しかったな」
「もう本当腹立つよなー。あんなノッポ」
「なんか言ったか?」
「いや何も」
自分の番を考えて、胸が弾む。
高なりだす胸を止められない。久しぶりの試合。
「伊織ちゃん頑張ってや!」
「おう」
すれ違いざまに日下と腕と腕を合わせた。