KY=勇者?
「日下、お前絶対クラスメイトにありがたがられるぜー」
「本当だよなー。しかも、午後組は絶対羨ましがるよな」
「そーじゃろーそーじゃろー」
日下が偉そうにウンウンと頷いた。
「会長との写真なんて中々撮れるもんじゃないしな」
「あそこであの言葉を言ったお前ホント勇者!」
「さすが空気読めない男っ!」
バシバシと日下が弄られ、どっと場が和む。クラスでも、日下は空気が読まない男で定着している。
「しっかし、あのタイミングじゃなかったら、小鳥遊が制裁対象だったんじゃね?」
「ありえるなー」
「でも、小鳥遊の顔の良さならファンも許すかもな?」
「どっからどー見ても外人だしな? 日本人にモテるだろ?」
口々にクラスメイトに言われて思わず苦笑した。おばさんウケの良い顔ではあるのは自覚しているが、若い子からは中々声かけてもらえなかったりする。
「と思うだろ? これが意外に、英語話せないからって敬遠して話しかけてくれないんだよなー」
「マジでっ!?」
「マジマジ」
「わーじゃあ、俺まだ望みあるわー」
「だから山崎顔自重しろって」
山崎の言葉に他のクラスメイトがすかさずツッコミを入れる。
そのツッコミのテンポとかくだらない話でみんなで談笑とかが、昔のバスケ部の雰囲気によく似ていて、思わず懐かしさがこみ上げた。
「ほんじゃ、俺達も楽しみますか!」
「「「「おおおおおお!」」」」
一人の言葉を合図に、仕事を終えた裏方が湧き上がった。