写真撮影
告白されてから、桐生に会うのは久しぶりだった。
生徒会は学園祭で忙しいらしく、あの日を堺にメールもぱたりと止んでいて。それもあって、なんとなく顔を合わせづらかったが、定員と客との関係で会えるこの場を感謝した。
さっきは日下の手前、あんなメールを送ったが、もしもこれが他の場所で他のタイミングなら、どんな顔をして、何を話せばいいか全くわからなくなっていただろう。
「オーダーをお願いしたいのだが」
桐生の元に行った俺は、いつもとは違う偉そうなその態度に少し面食らった。
「はい、只今」
「アメリカンのブラックとチーズケーキを」
俺の姿を確認すると、冷めた声色で注文を言ってくる。いつもの敬語ではない、これが会長である桐生の姿で、素なのだろう。普段のニヤけたような顔とは180度違った、引き締まった顔に、男の俺でも少し格好いいと思ってしまう。
やっぱり、クールなら格好いい。
このクールな男と、この間告白してきた男が同一人物とは思えない。
「はい、畏まりました」
「あと、此処は写真サービスも行なっているのか?」
「そうですね。希望とあらば」
「記念に一枚お願いしたい」
「……」
「どうした?」
「いえ……」
多分ここで断ったとしても、桐生のことだ。後々ネガをどこかから買い占めるような気がしてならない。
「あのっ、それなら僕がっ!」
近くで様子を伺っていたハイカラさんに扮したクラスメイトが名乗りを上げた。