突然の来訪者4


 ああ、せっかくの良い紅茶が。


 あの様子だと渋くなるまであのままだろう。
 どうせだったら女の子に運びたかった。日下の方を見れば、ちゃっかり女の子のオーダーをとっているし。

 ちょっぴり傷心していると、「あの……」と女の子2人から話しかけられた。


「はい、いかがしました?」


 平然を装っているが、久々の女の子に俺の心が弾む。


「一緒に写真って撮ってもらえませんか?」

「勿論です、レディ」


 文化祭ノリというやつだろう。手を胸に添えてウインクをすれば、女の子が頬を紅くする。


「山崎、写真お願いしていいかな?」

「おっけー」


 側にいたクラスメイトに頼み、俺は誘われるまま女の子の間に入った。


「いくよー。ハイチーズ」


 パシャリとフラッシュと共にシャッターがおり、「ありがとうございます」と女の子達からお礼を言われる。


「ハーフなんですか?」

「いえ、祖母がイギリス人なんです」

「ってことは、クォーター?」

「そうなんですよ」


 そう女の子達と和やかに話していると、


「おいっ」


 大きくは無いが、威圧感のある声が遮った。山崎を含め、俺たちは弾かれたように声の主を見る。


「会長……」


 山崎が恐れを含ませた声色で呟いた。


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