きみへのがんばれ


雪男と燐

「ご飯美味しかったよ、ありがとう」
「ふぇ!?」
「どうしたの?」
「いや、いつもお礼なんて言わないから…」
「なんか言いたくなったんだ」
「そっか、うん、お粗末さまでした」
「ふふ」
「へへ」
「そういえば兄さんなんで今日は早かったの?」
「ああ、今日からシフト減らして貰ったんだよ」
「え、じゃあ休み出来たの?」
「これから週五日、土日どっちか出て平日は四日、って感じだな」
「そっか、ふふっ」
「なんでそんな嬉しそうなんだ?」
「だってしばらく兄さん忙しそうで…色々我慢してたから」
「色々?」
「色々」
「我慢してくれると嬉しいんだけどな!」
「無理だよ兄さん大好きなのに」
「面と向かってそういわれると照れる…って、忘れるとこだった」
「?」
「ふっふー、お兄ちゃんを敬い給え弟よ」
「なにこれ、細長い…箱?ちゃんと包装されてて…高いんじゃないの?」
「開けてみろよ」
「えーっと…」
「…………」
「…………万年筆?」
「せーかい!高かったんだぜー」
「だろうね、僕の名前までちゃんと入ってるし。で、これどうしたの?」
「買ったんだよ、バイト代で」
「え?」
「ほら、お前もうすぐ大学とか考えるだろ?なのにアパートの事とかもやってるし。だからその、頑張れよー、みたいな」
「…もしかして、これ買う為にバイトしてたの?」
「ん、まあ。あとはアパートの管理やって貰ってるから俺もなんか働きたいなあ、と、か!?」

がばっ

「ゆ、雪男…いきなりどうしたんだよ」
「僕これ一生大事にするね」
「おう」
「そして兄さんにお知らせです」
「ん?」
「僕も一緒にバイトすることになったから、フロアだけど」
「っ、はあ!?なんで!?」
「兄さんをあんな動物園みたいなところで一人で働かせるなんてできない」
「動物園って…一緒に働けるのは嬉しいけど…その、いい人ばっかりだからな?」
「うん、わかってるわかってる」
「目が判ってないぞ」
「気にしないでよ。それより、お風呂一緒に入ろう」
「雪男変な事するからやだ」
「兄さんが誘わなければしないよ」
「誘うって…例えば?」
「そうだな、裸になるとか」
「風呂だからなるだろ馬鹿雪男!一人で入れ!」
「………」
「そんなに一人で入るのが嫌なら勝呂とかいるだろ」
「………兄さんがいい」
「うっ…」
「兄さんと入りたい。駄目?」
「弟属性を使って来るなんて卑怯だぞ」
「コンセプトは仔犬系旦那様です」
「訳わかんねえ!駄目だ!」
「僕、一ヶ月も寂しかったな」
「…わかった」
「兄さん…!」
「ただしぎゅーとちゅーまで!破ったら部屋別々にする!」
「堪えろよ僕の理性…ぶつぶつ…」
「まじお経とか本格的過ぎて怖い」
「ハグとキスもまともに言えない兄さんは可愛い、可愛いが部屋別々はダメージが大きいから堪えろ」
「キャラ崩壊落ち着けって!」


多分バイト関係はこれで一区切りです

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