count123

「勝呂ぉ、ここんとこ教えてー」

授業後の一時、燐がノートとペンケースを手に勝呂たちの方に寄る。お決まりの光景だから、迎える方も椅子をずらして一人分既に開けていた。

「最近奥村くん頑張っとるな」
「まあ半分もわかんねーけど!」
「おいおい」
「志摩さんも奥村さん見習おて下さい」
「女性の授業はちゃんと聞いてますよー?」
「動機が不純や…」

話しながら燐は机にノートを広げた。誤字脱字と言えないレベルの間違いはあるが、睡眠学習をしていた頃からは驚くほど進歩があるノートだ。
まずは勝呂が誤字脱字の直しとノートの解読をしてやる所から勉強会が始まる。

「なんで2×3が5なん」
「さんにがごだろ?」
「ろくや!」

勝呂は呆れ顔になるが、面倒見のいい彼は教えるのを止めない。
燐のノートのページをめくる。

「えーっと他に間違いは…ってなんやこれ」
「ん?」

シャーペンの先がページの上の隅にある正の文字の羅列を指す。
覗き込んだ志摩と子猫丸は首を傾げたが、燐はああ、と納得したような顔をした。

「それ、雪男が眼鏡上げた回数だよ」
「…は?」

ぽかんと勝呂は口をあけた。
そもそも燐と雪男に一般的な感性が通用しない事は知っている。
それでも、授業中に何やってるんだ、とか、そもそも数えるものじゃないだろ、とか色々考え、志摩や子猫丸と顔を見合わせた。

「兄さん」
「雪男!どうしたんだ?」

無言になった三人に燐は首を傾げた。が、教室に現れた雪男に、さっさと寄って行く。隠されなくなったしっぽがこれでもかと言うくらい、嬉しそうに揺れる。
話し始めた二人の雰囲気がこれでもかと言うくらい甘くて、思わずため息をついた。



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