ほにゃほにゃはいぬもくわない


「ああああ雪男のばか!ばか!」
「ちょ、兄さん…!」

バタバタ。

「あー、またやっとるわ…飽きないんか」
「喧嘩するほどなんとやら、ですよ、坊」

ガラッ。

「…………」
「!?」
「まじかいな」
「奥村くん泣いてはるの!?」
「な、泣いてねー…」
「兄さん!」
「げ」

バタバタ。

「ちっ、遅かったか…!」
「若さん言葉遣い」
「…すみません」
「ちゅーか、奥村、台所に逃げるのはよなったな」
「困ったものです」
「いやー、若さんも喧嘩する度にアパート揺らし…すみませんなんでもないです」
「遠慮しなくても良いんですよ?」
「遠慮なんてしてません」
「そうですか。…さて」

コンコン。

「兄さーん」
「………ばかゆきお何の用だ」
「…兄さんに言われたくないな!」
「じゃあ話し掛けんな!」

「ああ…」
「若さんってたまに馬鹿ですよね」
「しっ、志摩、聞こえるやろが」
「聞こえてますよ」
「「すみません」」
「…………はあ……兄さん…」
「奥村くん台所入るとほんま怒りますからね」
「くそっ、台所め」
「怒るとこちごうてます」
「黙れピンク頭」
「八つ当たりやあああ坊も何かいうてくだ…おもっきし目逸らしはりましたよね」
「…頑張りや」
「幼なじみでっしゃろ!?」
「それはそれこれはこれ」
「薄情もん…」
「さて、俺は部屋戻って勉強でも」
「坊のどあほ、俺も行きま」
「原因はてめーだピンク頭」
「ええええ」
「志摩くんが兄さんと仲良過ぎるのが悪いんですよ!学校でもくっついたりして…!」
「あかん、涙出てきた」
「頑張りや」
「それ二回目」
「聞いてるんですか!」
「聞いてます、聞きたくないですけど聞いてます…ってか、それ言ったら子猫さんやここにいる坊だって」
「俺を巻き込むなや」
「勝呂くんは無害そうだからいいんです、無論、三輪くんも」
「なんで俺だけ!?」
「だって志摩くん女好きでしょう」
「ええ、まあ、はい」
「女の子よりずっと可愛い兄さんが危ないじゃないですか」どーん
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………何か言ったらどうですか」
「ええー」
「言い訳によっては家賃三倍に納めます」
「り、理不尽やっ……あ、ほな、一言ええですか」
「どうぞ」
「俺からしたら若さんも十分可愛いらしいとおもいます」
「なっ」
「志摩!?」
「俺結構紳士であべしっ」

バァン

「ふ、ふらいぱんはないわ…」

パタッ

「志摩アアアアアア」
「はあ、はあ…雪男、大丈夫か」
「兄さん!」
「志摩になんもされてないか?」
「大丈夫。兄さん、ごめんね…疑ったりして」
「本当だよ、俺が志摩なんかに靡くわけないだろ?俺はゆ、ゆきおひとすじなんだからなっ」
「…すごく、嬉しい」
「………そうか」
「ふふ、耳まで真っ赤だよ」
「お前だって照れてるじゃねーか」
「ばれたか」
「お兄ちゃんなめるなよっ」
「はいはい。帰ろっか」
「ん、ちゅーしろ」
「随分積極的だね?ちゅ」
「そういう気分なんだよ、ちゅ」」

「志摩、大丈夫か?」
「ふふ…俺、さながらキューピッドってとこですかね、ああ痛」


志摩くんは仲直りさせたかっただけ

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