安売り
てのこうにキス。
恭しいそれにびっくりした燐の頬が染まる。
てのひらにキス。
にこりと笑った雪男の頭がぺしっと叩かれる。
こしにキス。
くすぐったいと燐は体を引く。
くびすじにキス。
雪男がそれで止める訳がなく。
みみにキス。
諦めと照れが混じって肩口に顔を埋める。
あたまにキス。
ぽんぽんと背中を叩いて顔を上げてと頼む。
おでこにキス。
口を開こうとしたら人差し指を立てられる。
ほおにキス。
我満ならないと目を閉じられこちらの台詞だと笑う。
まぶたにキス。
――――カウントスタート。
「しすぎたばか」
「兄さん限定で出血大サービスの安売りってことで」
「安くねーよ、ばか」
「そうだね」
くちびるにキス。
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