日常に隠れるのは

AM08:00
ぱちり。
目が覚めて額に残る温もりのかけらに赤面。
もぞもぞと布団からはい出て、一日が始まる。



AM09:00
朝ごはんを食べ終わって二人分の食器を洗う。
それから、クロに手伝って貰いつつ苦戦しながら洗濯物を干す。
今日はよく晴れた日で安心。



AM10:00
机に向かって、学生らしく課題。
が、30分で根を上げる。
暇を持て余したクロは散歩に出かけた。



AM11:00
再び課題に挑戦。
やはり30分で根を上げる。



PM00:00
昼飯。
弁当を持って外に出かける。
スーパーのチラシを見ながら夕飯を気合い入れて考えるが、目を引くものがない。



PM01:00
昼飯を食べ終わり、一件メール。
偶然勝呂に会い、課題の調子を聞かれる。
見栄を張って瞬時にばれる。



PM02:00
寮に帰って一人で課題。
メールの返信がある。
なんとか分かる所を埋めた。



PM03:00
おやつのゴリゴリ君を食べながら課題続行。
クロが散歩から帰ってくる。
答えを捻り出した。



PM04:00
クロを連れてスーパーへ。
仲のいいパートのおばちゃんと世間話。
嬉しくなって鼻歌混じりに帰宅。



PM05:00
夕食作り開始。
気合いが入る。



PM06:00
雪男が帰宅。


「ただいま」

「おかえりー」


台所にひょいと顔を出した雪男の鼻孔を食欲をそそる匂いがくすぐる。


「おいしそう」

「おう、リクエスト通り雪男の好きな物で固めたからな」


「いきなりメール来るからびっくりしたよ…でもありがとう嬉しいな」


ふふんと自慢げに燐が笑う。
ふと気が付いて雪男は弁当箱をバックから取り出した。


「こっちはご馳走さま。日曜日なのにごめんね?」

「俺の分も作ったし関係ねーよ」

「お陰で任務頑張れました」

「ん、よかった」


昼間、間接的に聞いた褒め言葉も相まって、少し耳朶が赤くなる。
そんな可愛らしい兄の姿に思わずキスをしてしまった。


「真っ赤だね?」

「照れない訳がねーだろ!しかも今日二回目だし…」

「あれ、起きてたの?あんな朝早くに」

「残ってたんだよ、つーかさ」

「ん?」

「どうせやるなら口にしろ、勿体ね、え」


途中で恥ずかしさが勝ったのか語尾が次第に弱々しくなっていく。
今すぐどうにかしてしまいたくなるのを雪男はぐっと堪えた。


「うん、兄さんは食後の楽しみにとっておこう」

「なんの楽しみだ」

「…言って欲しいの?」

「ゴ遠慮シマス…あー、もう、早く着替えてこいよ!」

「はいはい」


雪男は苦笑気味に台所を後にしようとした。なんだか寂しいのは気のせいだと燐は自分に言い聞かせる。

と、雪男は台所を出る間際、くるりと振り返った。
何事だろうかと燐が首を傾げる。


「兄さん課題終わった?」

「あー…分かるとこまでは一人で頑張ってみた」

「え、本当に一人で?」


意外だった。勝呂あたりに助けを求めるだろうと予想していたし、いつもの燐ならそうするはずだった。


「お前が頑張ってるのに兄貴が人に頼る訳に行かねーだろ」


まあ、半ば意地でもあったのだが。
そんな事は知る訳のない雪男は驚愕から一転して。ふっと、優しく笑った。燐は雪男のこういう所に弱い。だが、雪男も燐のそういう所に弱いので、所詮おあいこである。


「やっぱり兄さん可愛いね」

「はあ!?なんだよいきなり」

「だって可愛いんだもん」

「、と、とにかくまず着替えてこい!!!」

「はいはい」


今度こそ、台所から追い出した。

「あー、くそ」



PM19:00
そして夜は穏やかにふけていく。







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2回読んだら萌えるかもしれない話を書こうとして玉砕

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