金環

世紀の天体ショーです!とは、いつの時代も同じなのだと燐は苦笑した。外で上がる歓声に懐かしさを覚え、重ねたのは過去の自分。もう、はしゃいでも、見逃しちゃうよ?と、たしなめる人は居ないし、そもそも、燐の生は世紀という人間の尺度の外側にある。今更なのだけれど、やはり窓からふと欠ける太陽を見つめた。
輝く光線を瞳で受け止める。痛むのは構わない、どうせ直ってしまうのだ。ただ、円いその形に涙が溢れて左手の銀色にひたりと落ちた。

彼に、名前を呼んで欲しかった。

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