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視界がぼやけて、頬に生暖かいものが伝った。

「俺にチャンスをくれ」

金色の髪がぼやけた視界いっぱいに広がった。

「振り向かせられなかったら、頑張って諦めるから」

優しい声で、だけどやっぱり強い意志のこもった声で。コックが外れたみたいに流れ続ける涙をざらついた舌が舐め取りながら。

(そんなの……、)

反則だ。
こんなの、首を横に振れるわけがない。
うまいこと焦点の合わないまま、できるだけ尚輝の目を見て。伝わったかどうか分からない、小さく1つだけ頷いた。

















その日、アイツの姿を見ることはなかった。
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