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言い渋っているうちに、鼓膜を揺らしたのは尚輝の声だった。
「その続きを言う前に、聞いてほしい。」
女々しく思われても、俺、本気だから。愛のこと。
尚輝の顔が目の前にあるのに、俺が見ているのはアイツだった。(もしアイツなら)そう考えてしまう自分が嫌で仕方ない。
「……少しだけでいいんだ」
何事にもあっさりしていて、"粘る"なんて言葉は辞書にない男だと思っていた。
「3ヶ月……、1ヶ月だけでもいい」
こんなにも真剣で、こんなにも一生懸命になって。考えてしまうと抑えが効かなくなったようだ。
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