▼78 返事を急かされてる気がして、考えのまとまらない頭で、口を開いた。 「……尚輝が嫌いとか、そういうんじゃないんだ」 「気持ち悪いとか、そんなのも思ってないし、」 「アイツ……、大窪が好きとかでもなくて、」 「なんていうか、……尚輝は、」 うろうろして忙しない目線の隙に、尚輝の視線がちらちらと入ってくる。 口の中に言葉がせり上がってきては潰れ、せり上がってきては潰れ。どう言い出せばいいのか分からなかった。 「尚輝は、友達で、それ以上じゃなくて、だから、」 そこまで言ったのに、最後の一言がまた口の中で潰れた。……潰した。 尚輝とは、友達でいたいから。最後の一言を言って、友達じゃいられなくなるのが嫌だった。 <<Retune? |