▼6 何も変わらない。 だけど、寄れだした表面の水面下では、着実に何かが変わりだしていた。 俺だけが知ってるアイツ。 アイツだけが知ってる俺。 俺らはふらりとあのスーパーの屋上へ行っては、二人で他愛ない話をした。 約束なんてしてなかったから、アイツが来ない日もあった。そんな日は、一人で町を見下ろす。小さな人間達を見ては、変わりない毎日を楽しんでいた。でもどこか、心の奥底で楽しみきれない。 そんな時は携帯を開いてアイツの名前を電話帳から呼び出す。 < 暇 > たった一文字だけのシンプルな文面のまま、送信ボタンを押した。 1分と待たずに手中から音楽が鳴りだす。アイツが好きなエミネム。知らない曲名だ。 < 俺も > < いつものとこいる > <<Retune? |