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携帯を切ってえへへ、と笑いながら走ってくる姿はかわいらしく、後ろから同じことを思っているらしい、マイの声が聞こえた。
「どしたん、」
「あっくんたちいないから、探しに来たの」
いつもと比べものにならないほど小さなかばんに携帯をしまいながら、そう言ってきた。その髪は、乱れている。
「1人で?」
「うん! エミたちにもちゃんと言ってきたよー」
ななめに分けられた前髪を手で軽くそろえてから、向けられた笑顔。
ドキドキ、ドキドキ。する、……。はずだった。少し前の俺なら、確実に。
なのに、なんでだ。
心臓は、いつもと同じリズムで動いているだけだった。
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