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「前にも言ったけどな、」

「ういうい、んなら言わねぇでいいよって」

ゴチ、と骨のぶつかり合う音がして、尚輝の左手がその場を離れた。ちぇ、という声と、理解してない俺だけが取り残されて、周りは笑う。

「愛ー、浮気じゃないからなー、安心しろ?」

わしゃ、と耳元で鳴るのは髪の毛で。
でもその文句より先に言うべきは

「んな心配誰がするかよ」

それより、せっかくのセットが台無しじゃねーか。
周りのやかりと不満げな声を無視して、髪の毛を立たせる。鏡がないからやりづらかったが、ここは男の勘だ。

「愛次、」

ふと呼ばれた先に待ち構えていたのは赤いライト。

カシャ

電子音と共に、中途半端な髪型の俺はマイの携帯に保存された。
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