▼49 「前にも言ったけどな、」 「ういうい、んなら言わねぇでいいよって」 ゴチ、と骨のぶつかり合う音がして、尚輝の左手がその場を離れた。ちぇ、という声と、理解してない俺だけが取り残されて、周りは笑う。 「愛ー、浮気じゃないからなー、安心しろ?」 わしゃ、と耳元で鳴るのは髪の毛で。 でもその文句より先に言うべきは 「んな心配誰がするかよ」 それより、せっかくのセットが台無しじゃねーか。 周りのやかりと不満げな声を無視して、髪の毛を立たせる。鏡がないからやりづらかったが、ここは男の勘だ。 「愛次、」 ふと呼ばれた先に待ち構えていたのは赤いライト。 カシャ 電子音と共に、中途半端な髪型の俺はマイの携帯に保存された。 <<Retune? |