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俺たちから少し離れたところで、アリサたちの笑い声が人波をかきわけて届いてきた。
いくぶん溶けた氷をそのままがっついて暇をつぶす。
「愛に会わせたいやついんだよ、」
ようやっと閉じた携帯を懐になおして、俺の真似をして赤い氷に食いつく。
「女?」
「どう見てもそうは見えない」
「ちぇ、」
できれば可愛い女の子希望だったのに。そんな意味を込めて。
「愛には俺がいんだろー?」
耳元で、氷が砕ける音が鳴った。肩に回された腕と密着した首筋が暑い。一瞬のことなのに。
「周りいねーのに、ホモかと思われんぞ、」
暑い、と回された腕をほどいて笑った。
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