▼3 確かに、俺の地元は治安が悪い。不名誉なことに、日本一某犯罪が起こっている。 数年前にはいとこのすぐ近くでパチンコ屋の店長が殺され、その翌年には後輩のマンションで放火殺人が起こり、その数ヶ月後には連続放火事件でニュースに大々的に取り上げられた。 が、生まれて16年間、ここから離れたことは1度もないが、俺は被害に遭ったことがない。 なのに。 目の前で堂々とタバコを吸ってるヤンキー……。俺の人生は大きく変わろうとしていた。 「なんでここにいんの」 「地元だし」 「……大窪、ここだったっけ?」 「うん。山下こそ、」 買い物袋を引っ提げた普通人と、片手にタバコを持ったいかにもヤンキーなコイツ。 会話は、こんな風にいつもぎこちない。 「なんで1人なんさ?」 「別にいいだろ。優等生は1人なんだって」 "優等生" コイツはよくその言葉を使いたがる。茶髪でタバコ吸って、スーパーの屋上で座り込んでる。そんな奴のどこが優等生なのか、俺にはいつも理解出来ない。 「そうだな、大窪は優等生だもんな」 自分的には皮肉混じりで言ってやってるつもりだ。 だが学校でもこのノリ。コイツの頭じゃ絶対理解出来ない。 <<Retune? |