確かに、俺の地元は治安が悪い。不名誉なことに、日本一某犯罪が起こっている。
数年前にはいとこのすぐ近くでパチンコ屋の店長が殺され、その翌年には後輩のマンションで放火殺人が起こり、その数ヶ月後には連続放火事件でニュースに大々的に取り上げられた。
が、生まれて16年間、ここから離れたことは1度もないが、俺は被害に遭ったことがない。

なのに。
目の前で堂々とタバコを吸ってるヤンキー……。俺の人生は大きく変わろうとしていた。

「なんでここにいんの」

「地元だし」

「……大窪、ここだったっけ?」

「うん。山下こそ、」

買い物袋を引っ提げた普通人と、片手にタバコを持ったいかにもヤンキーなコイツ。
会話は、こんな風にいつもぎこちない。

「なんで1人なんさ?」

「別にいいだろ。優等生は1人なんだって」

"優等生"
コイツはよくその言葉を使いたがる。茶髪でタバコ吸って、スーパーの屋上で座り込んでる。そんな奴のどこが優等生なのか、俺にはいつも理解出来ない。

「そうだな、大窪は優等生だもんな」

自分的には皮肉混じりで言ってやってるつもりだ。
だが学校でもこのノリ。コイツの頭じゃ絶対理解出来ない。
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