▼38 「ねぇねぇ、アリサにもちょっと食べさせてよー」 落ちてきた髪を耳にかけて、グロスで光る口を開く。 赤いだけの、練乳なんてほとんどついていない氷だった。それでもおいしい、なんて嬉しそうに笑ってみせるアリサ。 艶っぽいとはこのことなのか。 それでも、俺の胸は何も沸き上がらなかった。 「あっくんにアリサの、ちょっとあげちゃうー」 水色の爪が自分のストロースプーンを捕まえて、水色の氷が口元に運ばれた。 「ん、ぁ、ありがと、」 うまいよ。氷が喉を通り過ぎてからそう言って笑った。 アリサも笑顔を返してきた。 「愛、ちょっと持って、」 赤いシロップが氷から滴って、下に溜まった白い半透明のプラスチックを渡された。 <<Retune? |