▼36 「俺決めたーっと……、愛、何にすんの?」 かけ放題ならしく、シロップがいくつも並んでいる。その横には練乳も置いてあった。 「……イチゴ」 練乳の存在に、あっさり心奪われてしまった。特別甘いものが好きってわけでもないが、練乳が、好きなのだ。 「お、んじゃあでっかいの頼んで俺と半分こしよーぜー」 これは提案ではない。その証拠に尚輝は既に店員のにーちゃんに金を払っている。 やーり、金浮いた! 尚輝は甘いもの好きだ。好き勝手させてもきっと、シロップも練乳もかけまくると思う。 案の定、というか。 目の前に差し出されたのは、女の子すらも引くくらいにシロップと練乳漬けにされた氷。 「……俺食えなかったら、尚輝全部食えよ?」 苦笑い。うまく笑えなかった。 かき氷なんかじゃねぇよ、こんなもん。 <<Retune? |