▼34 「あ、マツこれ食べるー?」 でこぼこに飾りつけられた長い爪から伸びる、赤と白のストライプのストロースプーンの先に乗った氷の塊を差し出した。 「食べる!」 不意打ちに食いついたマツの口に、それを入れる。 ……意外と、うまくいくんじゃないだろうか。 尚輝も同じことを思ったらしい。俺らは意味深な笑みを交わした。 「あっくん、尚輝、久しぶりー!」 ミカの後ろから出てきたのはショートカットをモカブラウンメッシュに染めたアリサだった。アリサは俺と知り合った頃から某歌姫に似ている。本人もそれを自覚しているようで、メイクで更に似せようとしていた。 「おー……」 俺はどうも、彼女が苦手だ。 なんとなく、苦手だ。 「ねぇねっ、ミカ達射的行ってくるからちょっと待っててー!」 少し向こうにある射的屋台に、ミカとマツは2人で言った。 もしかして、もう? 尚輝も考えるように2人の後ろ姿を見ていた。 <<Retune? |