▼26
「俺たち、」
その続きを言うアイツの顔を振り返って見ることができなかった。
返事する声も出なくて。
ただ走って、走って、走って……。
階段を、何度も転げ落ちそうになりながら降りきった。
「俺、だって……っ、」
息が上がって、呼吸するのが苦しい。
まるで胸が締め付けられたかのようで、全身から何かが湧き上がってくる。
勝手に流れ出る涙を止めたかった。
「俺だって、」
アイツがいる屋上。
言えない言葉が体の中をぐるぐる駆け巡る。
この気持ちをはっきりと自覚した日だった。
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