26

「俺たち、」

その続きを言うアイツの顔を振り返って見ることができなかった。
返事する声も出なくて。
ただ走って、走って、走って……。

階段を、何度も転げ落ちそうになりながら降りきった。

「俺、だって……っ、」

息が上がって、呼吸するのが苦しい。
まるで胸が締め付けられたかのようで、全身から何かが湧き上がってくる。
勝手に流れ出る涙を止めたかった。

「俺だって、」

アイツがいる屋上。
言えない言葉が体の中をぐるぐる駆け巡る。

この気持ちをはっきりと自覚した日だった。
<<>>

<<Retune?
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -