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「……悪かった。……もう言わねぇよ、」
アイツは、俺を見たままそう言った。
頭を撫でるあったかい手。
「ごめん。」
目を開けた。
「ごめんな、」
耳を押さえていた手を離した。
「俺を知ってるのはお前だけで、ちょっと自惚れてたのかもしんねぇ」
学校でよく見る笑顔をだった。感情を抑えた、アイツらしくない笑顔。俺の嫌いな笑顔。
「……。」
何かを言えるわけがなかった。
俺の嫌いな笑顔を、俺がアイツに、俺に向けさせている。
胸が何かに握られたみたいに強く痛んだ。
分かっている。本当は、ずっと前から気付いていたんだ。
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