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それからすぐ、学校は夏休みに入った。
俺らは受験なんてまだ関係ないから、今年は思う存分遊べる。
配布されたプリントに書かれていた"3年 補講"の文字を見てかわいそうだな、なんて、のん気なことを考えていた。それもすぐに忘れるのだけれど。

「またなー」

「おう、またな!」

クラスメートとは、長期休暇にも関わらずそんな短い会話だけで別れた。
教室を見渡すと、ごたごたと集まり長話に花を咲かせている女子の中に、アイツはいた。小さな女の中に、1人だけ頭の飛び出たアイツはすぐに見つけれた。

女子との会話で、楽しそうに笑って。
俺の前と同じようで、どこか違って……。一緒にいるときよりも、今の顔の方が楽しく見えた。胸がチクリと痛む。
なんだろうか、これは。

俺は。

この痛みから逃げるみたいに教室を出た。アイツが俺を見ていようが、関係ない。見ているかなんて分からないんだ。
でも。頭の後ろが焼けるように熱かった。誰かが見ている。それだけは分かっていた。ただ漠然と、その視線がアイツだと。
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