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「でも、」

ちゃんと伝えなくちゃいけないと思った。これからはアイツではなくて、ちゃんと尚輝と向き合うと。"恋人"として、ちゃんと。

「俺は、尚輝と、ちゃんと"恋人"になりたい」

揺れていた瞳が、俺の瞳と合わさって、動かない。

「、」

名前を呼ぶことは、できなかった。
ずっと優しかった手は今、俺の頭を強く押さえてて、あの日初めてキスされた時みたいに、舌が動き回ってうまく呼吸ができなくなる。それでも。
やっぱり、違う。
抵抗しない俺も、それを分かっている尚輝も。今はもう、違う。

「愛、……」

お互いの唾液が合わさった糸が切れるのを見た。今更自分の顔に血液が集中していることを自覚して、恥ずかしさが増す。
そんな中でぶつかった尚輝の視線は、さっきと違った"愛しさ"をはっきりと感じ取れた。

「あんま、見んな、」

最後は本音を隠すようにバカ、と暴言を吐いた。

「ごめん、」

あまりに真剣なその声に、違和感を持った。視線を再度上げると触れるだけのキスが落ちてきて、無意識に目を閉じた。
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