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晩飯も食べ終えて、二人で洗い物して、風呂に入った。気をきかせた尚輝が、別々でいいと言ったから、別々で。
夜になっても、尚輝の両親は帰ってこない。

「尚輝、」

寒いくらいにクーラーの温度を下げて、でもそれでは肌寒いから、タオルケットにくるまって。
目の前には黒いシャツ。

「ん?」

昼間の暑さなんてどこに行ったのかと思うほど、ひんやりとした室内で、尚輝の手のひらがちょうどいい温度だ。

「……キス、しようか」

その動きが一瞬止まって、頭上から小さな笑いが聞こえた。きっとそれが返事。
額に暖かくて柔らかい唇が触れた。

「尚輝、」

それが俺たちのキスだった。
……だった、んだ。

「ど、……っ、」

顔を離すと、状況を理解できていない尚輝がいて、なんだかおかしかった。

「い、や、笑いごとじゃ、」

いつもはどちらかと言えば、こうやって人を驚かすのは尚輝の方で。笑うのも尚輝の方で。
何のためらいもなく胸に顔をうずめたら、背中に腕が回って抱き締められる。

「お前、……どんだけ我慢してると思ってるんだよ……、」

耳元で呟かれた言葉に、抱き締め返した。"恋人"として、ちゃんとしたキスをしたのは今日が初めてで、これからの俺らのキスは額にする誤魔化しのキスじゃない。
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