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尚輝の家で食べる料理は、そこら辺の喫茶店で出されるものよりうんと美味しい。

「美味しい」

一度尚輝にそのことを言ったら、「言いすぎだろ、」と笑われた。言いすぎなんかではないと思う。

「この味付け好きだよな、」

オムライスの隠し味にめんつゆが入っているんだそうだ。めんつゆを入れることにより、ちょっと甘くなるらしい。

「卵料理って好きじゃないけど、これなら食べれる」

尚輝の作るオムライス以外のオムライスを食べた記憶は一度しかない。
卵嫌いの俺に尚輝が、自分で作ったオムライスをむりやり食べさせられたとき、それが意外に食べれると分かった。その後他のオムライスも食べれるかとチャレンジしたのだが、やっぱり無理だった。
それ以来、尚輝が作るオムライス以外は口にしていない。

「そーゆーとこに惚れたんだよ、」

尚輝は目を細めて俺を見ながらそう言った。

「どこ、」

俺が聞き返すと、オムライスを割りながら同じ返事が返ってきた。まるで答えになっていない。

「俺の料理を美味しいって、俺の料理だけ食べれるって、そう言ってくれるとこ」

笑顔の尚輝は、とても幸せそうだった。
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