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尚輝の家は、両親が共に働いている。だから、尚輝は家事全般をこなすことができるのだと、中学の頃に聞いた。

手慣れた様子でフライパンを操る尚輝の隣で、幅のバラバラなキュウリが転がっていった。
(均等になんて切れるわけねぇ!)

尚輝の作る料理はおいしい。俺もこれほど作れたらとは思うけど、普段はまったく作らないから、上達なんてするわけもなくて。
それでも、尚輝の手伝いをしてるうちに少しは上達した。
(あの頃はひどかったもんな、)
思い出して思わず笑いが小さく漏れた。

「愛、こしょう取って、」

菜箸を握る尚輝の左手に小さなガラス瓶を渡した。青い蓋を器用に外して、目には見えない白い粒子が落ちては熱で分解されて絡まる。

「ごめん、蓋しといて」

差し出された瓶は首がもげたままで、包丁を置いて首を付けた。
元の位置に置かれたこしょうが首を傾げて見つめている中、再び包丁を握った。不定期な乾いた音が響く。
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