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(なんか、……うん。)
少なくとも男が頬赤らめるだなんて姿を見る機会の少なかった俺からしてみたら、それはどこか異様な光景で。
自分が何をしたかなんて自覚はなかったが、なんだかこっちまで恥ずかしくなった。

「いや、」

頬張っているアイスに邪魔されてうまく発音できなかったが、俺はそう答えた。
アイスの棒を捨てると、ギャル男が手招きしている姿が見えた。
口の中で小さくなったアイスを流し込んで、素直に目の前にまで移動した。

右腕を差し出して、俺の左脇へ。力に逆らうことなく、あぐらの上へ移動した。
顔を上げれば尚輝が思っていた以上に近いことに驚いた。唇が額に触れる。

「愛」

尚輝の腕の中も、首筋にかかる呼吸も、こんなにクーラーの入っている中では、ただ暑い。

「愛、エロい」

肩から首にかけてを、尚輝の唇が触れながらゆっくり移動していく。
(エロいのはどっちだ)
少なくとも30分前には炎天下で汗にまみれていた体だ。汗くさくないかが心配になった。この場で心配するべきは他かもしれないけれど。
きっとこれが信頼なのだろう。尚輝は俺にむりやり手を出さない。そんな信頼。
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