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「久しぶり、だな」

話の流れと違ったセリフに思わず声を出して笑ってしまった。

「今更だな」

合間に返事を返した。アイツもつられて少しだけ笑って、肩を竦める。
煙を肺に入れて冷静になると、ふとさっきの人を思い出した。

「あれから……も、来てたの、」

心のどこかで2人しか知らない場所だと思っていた。よく考えれば分かることだ。
ここはスーパーの屋上でしかない。昼間となれば子どもが親に連れられてここで思いきりはしゃいでいる姿だって珍しくはない。

「何回か、」

「……そう、」

さっきの人は本当に彼女なのか。だとすれば、その何回かを彼女と来ていたのか。
……聞きたいことはたくさんある。
でも、聞く権利がないことも分かっている。

それからは他愛もない会話しかしなかった。
恋の話には発展しない。俺らはただの"友達"でしかない。

それでいいんだ。

自覚する度、更に胸を絞られるみたいな痛みが襲ったけど、そんなもの無視し続けて。
"友達"の会話を楽しんだ。

「また来る、だろ?」

貰ったタバコはずっと前に息絶えていて。携帯が知らせる時刻はもうすぐリセットされる。

「あぁ、」

「じゃ、連絡待ってる」

出会った頃と変わらない。いつもと同じ俺らに戻れた。そんな気がした。
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