88

尚輝の宿題は、結局その日は終わらなかった。けど、言ってた通り、後少しのところまで進んだ。
多分、1日あれば確実に終わるってほどまで。

「送るよ、」

帰り際、尚輝はそう言ったけど断った。
ただ送ってもらうのが悪かっただけだ。それ以外に別段意味はない。

外に出るともう真っ暗で、人通りの少ない尚輝の家の前でキスをした。互いの額に。
手を振って別れて、そのまま帰路を歩く。
尚輝の家から俺の家まで、徒歩で帰れる距離。より道なんてせずに帰る。
街灯が黒いアスファルトを照らすその向こうに、いつものあのスーパーが少し、姿を見せた。

そこに多分、アイツはいない。

あの屋上にはあの日以降、一度も行ってなかった。
(たまには、)
帰路とは違う道へ足を踏み出して、久しぶりにそこへ向かう決心をした。
見慣れているはずの道なのに、なんだか、懐かしく感じていた。
<<>>

<<Retune?
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -